同じ机で絵を描いていても、まだ少し遠い。図書室では空いた席を挟んで座っていて、廊下では声をかける前にためらってしまう。
今回の『高嶺の唄』のMVは、美術を学ぶ学生たちの恋愛をテーマに作りました。以前つくった曲をリマスター/リミックスし、その歌に、キャンパスで過ごす二人の時間を重ねています。
日本語版は『高嶺の唄(Remastered)』、英語版は『My Only One』。どちらも、不器用なまま誰かを真っ直ぐ想う歌です。
過去の曲を、メランコリックなロックへ
『高嶺の唄』は、以前にも曲とMVを公開している作品です。今回はその曲を、メランコリックなロックっぽい方向へリミックスし、修正を重ねました。
元の歌にもあった「届かないとわかっていても」「胸は君に向かってしまう」という気持ちは、今回も中心にあります。自信があるから言葉にできるわけではないし、好きになったところで、急に器用にもなれない。その頼りなさが残るラブソングです。
曲を作り直したのに合わせて、映像も、美術を学ぶ学生たちの日常として組み立てました。切なさのあるロックの曲調に、木漏れ日や長く伸びる影、言いかけてやめる表情を合わせています。
以前の『高嶺の唄』のMVも残っています。同じ歌詞の一節が、今回の音と映像ではどう感じられるか。見比べたり聴き比べたりできる形になりました。
絵を描く時間の中で、二人を近づける
舞台にしたのは、制作机や図書室、作品が掲示された廊下のあるキャンパスです。
男子学生の手元には黒いスケッチブック。女子学生は青い花の作品を持っています。絵や道具があることで、二人が何をしている人なのかが、言葉で説明しなくても見えるようにしています。

最初から二人だけで過ごす場面ばかりにはしていません。友人にからかわれる時間や、四人で共同課題に向き合う時間も入れました。誰かを好きでいる間にも、授業や制作は続いている。そういう日常の中で、相手の表情や作っているものが目に入ります。
やがて名前を呼び、振り向いてもらい、帰り道では二人が話している。その変化がつながるよう、場面の順番や長さを見直していきました。

サビでは、ちゃんと二人の顔を見たい
編集で何度も見直したのが、サビでした。
美術の習作や無人の図書室にも、使いたい絵はありました。ただ、「高嶺の花のような君へ」と歌うところでは、主人公かヒロイン、あるいは二人をちゃんと見せたい。その考えで、人物が登場する位置を組み直しました。
特に二回目のサビは、花の作品を抱えて廊下で振り向くヒロインを中心にしています。一回目から重ねてきた、同じ場所で学ぶ時間や名前を呼ぶ場面のあとに、その表情が来るようにしました。
もちろん、生成された動画には、そのままでは使いにくい部分もありました。紙を受け取る瞬間に、持っていた別の紙が消える。ノートの中の絵の向きがおかしい。体の後ろから、不自然な手が出てくる。
良い表情や光のあるカットも多かったので、使う区間を選び直しました。本を開く動きが変なら、その前か、開いたあとの安定した部分を使う。余分な手が見えるなら、それが消えたところから始める。別の場面に差し替えることも、前後の長さでつなぐこともありました。
拡大しすぎてぼやけた画角も戻しています。表情を見せたくて寄っても、そのせいで絵がぼやけてしまうと気になる。人物を見せることと、元の絵の良さを残すことを、カットごとに調整しました。
英語版『My Only One』も制作しています。英語の歌唱音源と歌詞に合わせて映像と字幕を調整し、正方形・横長の全曲版と、二回目のサビを使った縦長版を用意しました。
英語版MVを見る · 日本語の音源と歌詞 · 英語の音源と歌詞
最後は暗転させず、夕方の景色と、町へ下っていく二人の後ろ姿を残しました。
黒いスケッチブックと、青い花の作品。同じ場所にいても離れていた二人が、帰り道では並んでいる。作り直した『高嶺の唄』には、その時間を一緒に残しています。
alternative pop rock高嶺の唄(Remastered)過去につくった『高嶺の唄』を、メランコリックなロック寄りにリミックス。美術を学ぶ二人の、制作机から夕方の帰り道へ続く恋愛をMVで描きました。曲のページを開く →最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
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