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お菓子の前に、ひと踊り。『ハロウィンアパート』MV制作ノート

ハロウィンをきっかけに、久しぶりにコメディのMVを。お菓子代を使い切った四人のモンスターと、空かご、時間稼ぎのダンスを描いた制作記録です。

ハロウィンの灯りがともるアパートの中庭で、空のお菓子かごを囲む四人のモンスター

そういえば、もうハロウィンだ。そういえば最近、コメディ系のMVを作っていなかった。

『ハロウィンアパート』は、そんなところから作り始めました。

キャラクターは、「ハロウィンのモンスターといえば」という基準で選んでいます。ドラキュラ、狼男、ミイラ、ジャック・オー・ランタン。そして、大家さんは魔女。

この顔ぶれで、ちょっとダメなモンスターたちのエピソードを作りたい。そう考えるうちに、四人が同じアパートで暮らす話になっていきました。

お菓子を買うために、ちゃんと働いたのに

四人は、子どもたちに配るお菓子を買おうと、バイトに出かけます。

ここまでは、ちゃんとしているんです。

でもドラキュラは、夜勤帰りにワインで乾杯。「一杯だけ」のつもりが、何杯飲んだのか分からなくなり、隣にもおごってしまう。

狼男は、日払いのお金を持ってパチンコへ。増やしてクッキーをたくさん買う予定が、残ったお菓子は飴玉ひとつ。「一万円かかった」と言い張ります。

ミイラは、グッズ売り場で働いたお金を、そのまま推しのグッズに使ってしまう。缶バッジがじゃらじゃら鳴るので、音だけならお金持ちです。

ジャックは清掃の仕事を終えたあと、たばこをまとめ買い。お菓子の予算まで煙になってしまいました。

四人とも、お菓子を配る気はあった。働きにも行った。それなのに、誰もお菓子を買って帰ってこない。そんなダメさを、一人ずつのラップにしています。

サビでは、みんなで踊ってごまかす

曲のイメージは、明るいハロウィンのポップラップです。UK GarageとJersey Clubを組み合わせる方向で、細かく言葉を詰めるラップと、大きく歌うサビの差をつけようと考えました。

四人がそれぞれの失敗を話している間にも、子どもたちはやって来ます。

かぼちゃの灯りの下に、小さな行列。でも、かごは空っぽです。

お菓子の前に ひと踊りどうぞ

歓迎している顔で踊りながら、内心では焦っている。このサビが、四人の困ったところをいちばん分かりやすく見せる場面になりました。

衣装も灯りもにぎやかで、本人たちも楽しそうに見える。でも、踊っている理由を知っていると、少し違って見える。そのずれを映像にも残したかったところです。

空のかごと、飴玉ひとつ

今回、画面の中で意外と大事だったのが、小道具でした。

空のかごが見えないと、四人が焦る理由が伝わりません。狼男の手のひらの飴が見えないと、「一万円かかった」という話もつながらない。長いレシートや、ミイラの缶バッジにも、それぞれオチがあります。

人物の表情と、小道具の意味。両方が読める順番を考えました。

人物の顔をきれいに見せようとして画面を寄せると、肝心のかごや飴が切れてしまうことがありました。正方形から横長の16:9へ切り取るときは、特に何度も見直しています。

その場面で見せたいのは、顔なのか、手元なのか、二人の反応なのか。小さなコメディを映像にするには、その順番まで考える必要がありました。

アパートや街にも、少し時間を渡す

編集を進めると、人物のカットが続きすぎたり、同じ映像を使い回しているように見えたりするところも気になりました。

そこで、人のいないアパートや街の場面を加えました。

中庭の灯り、夜の街、月。四人が騒いでいる場所の外にも、ハロウィンの夜は続いています。

月と青い夜空の下、廊下や窓にあたたかな灯りがともるアパート
人のいないアパートの灯り。にぎやかな場面の間に、夜の景色を置きました。

こうした場面を挟みながら、ダンスやツッコミのにぎやかさと、夜の静けさの配分を見直しました。最後まで人物を大きく映し続けるより、少し離れた景色があるほうが、アパートの雰囲気も残せると思いました。

一枚では気づかなかった、おかしな動き

AIで作った映像には、何度も戻ることになりました。

ドラキュラの指先からワインが出ているように見える。子どもの顔が不自然になる。手の形や、狼の腕の角度がおかしい。

そうしたところは、使う範囲を変えたり、別のカットへ差し替えたりしています。元の絵がきれいでも、動き始めた先まで自然とは限りませんでした。

英語版の『Halloween Apartments』では、別の問題もありました。

英語の歌唱に合わせて映像を調整した際、ドラキュラの指差しが約二倍の速さになっていたんです。短い台詞の中に元の動作を全部収めようとして、早送りのようになっていました。

ここは使う動作の範囲を絞り、元の4K素材に対して等速へ戻しました。歌詞の時刻に合わせることと、動きが自然に見えることは、両方確認しないといけない。そのことがよく分かる修正でした。

最後は、大家さんの出番

四人がどうにもできなくなったところで、魔女の大家さんが登場します。

お菓子は、ちゃんと買ってある。あとは、あんたらが配りなさい。

最後のサビでは、ようやく子どもたちへお菓子を渡せます。最初は空だったかごが、お菓子でいっぱいになる。同じアパート、同じ四人でも、今度はちゃんと配る側に回っています。

お菓子でいっぱいのかごを前に、子どもたちへ袋を差し出すドラキュラとミイラ
最後のサビでは、お菓子の袋を差し出せるように。空かごから始まった話が、ここへつながります。

ただし、大家さんの手元にはレシートがあります。

狼男が「俺にもひとつ」と言っても、それで丸く収まるわけではありません。最後まで、四人には少し情けなくいてもらいました。

音源と歌詞は、日本語版の楽曲ページと英語版の楽曲ページにまとめています。

お菓子を買うはずだった四人が、どうしてこんなことになったのか。

あきれながらも、少し笑って見てもらえたらうれしいです。ハロウィンの夜に、こんなアパートが一軒あってもいいかもしれません。

pop-rap / UK garage / Jersey clubハロウィンアパートドラキュラ、狼男、ミイラ、ジャックが、お菓子代をそれぞれの楽しみに使い切る。空のかごを前に始まる、ラップとダンスのハロウィン騒動です。曲のページを開く →

最後まで読んでくれて、ありがとうございます。

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