石造りのアーチが連なる街。窓の外を流れる景色。黒い上着に、淡い黄色のフーディーを着た二人。
今回は、2025年に作った『未完成のまま』をリマスターし、新しくアニメMVを制作しました。知らない街で迷ったり、言葉がうまく通じなかったり。それでも、いまの自分で踏み出してみる。原曲にあった旅の歌を、二人のバックパッカーが一緒に進む映像にしています。
日本語版は『未完成のまま(Remastered)』、英語版は『Left Unfinished』です。
配信サービスでは、アルバム『Pop 2025』の5曲目に『未完成のまま』を収録しています。配信サービスで聴く(TuneCore)。

以前の歌に、新しい旅の映像を
『未完成のまま』は、以前にも曲とMVを公開している作品です。原曲のMVは2025年11月に公開しました。今回はその曲のリマスター版に合わせて、人物や風景、場面のつながりを組み立て直しています。
原曲は約3分20秒。今回の日本語版は約2分40秒になりました。掲載歌詞を比べると、原曲にあった短いHook、そのあとのBridgeとVerse 3が、今回の日本語版では省かれています。
残っているのは、片道切符や破れたガイド、知らない街の屋台、言い間違いの先にある笑顔。「手ぶらで世界へ飛び出して」から始まり、最後は「手ぶらのままで帰ってきて」で閉じる、旅の歌です。
以前の『未完成のまま』MVも残っています。原曲と今回のリマスター版を、それぞれの映像と一緒に見られる形になりました。
原作の黄色を、少し淡く
映像の出発点には、黄色と黒が印象的な原作の画像や動画がありました。マイクを持って歌う二人と、首にかけたヘッドホン。ラップにも自然に馴染む、その雰囲気を残したいと思いました。

そこから、二人を旅するバックパッカーとして考えていきました。黒髪、ゆったりした上着、黄色いフーディー、バックパック。歌っていても、知らない街を歩いていても似合う人物にしたかったです。
黄色の強さは、途中で何度も調整しています。少し淡くして、白い建物や青灰色の影、黒い服と釣り合わせる方向にしました。線も細かく描き足すより、少ない線で形を捉えたい。輪郭は薄く、影は大きな色の面で置く。そのアニメーター的なタッチを目指しました。

二人が、同じ旅をしているように
舞台には、石造りの街や坂道、港、船、屋台の灯りを取り入れました。大きな景色を見せる場面と、街の中で誰かとやり取りする場面。その両方が欲しかったです。

ただ、途中の構成では、男女が別々に移動しているのに、いつの間にか合流しているように見える箇所がありました。船にそれぞれ乗っているなら、そのあと簡単に再会するのは不自然です。それなら、そもそも一緒に移動したほうがいい。
そこで、二人が同じ旅程を進む方向へ整理しました。同じ車窓を眺め、同じ船で移動し、着いた街で並んで歩く。次の場所にも二人で来たと感じられるように、場面をつなぎ直しています。
歌い出しを、街の景色で受け止める
特に見直したのが、冒頭です。
歌が始まるところに歌っている人物を置く構成も試しましたが、見ていると、少し無理に歌唱カットを入れているように感じました。
使いたい風景の素材もありました。石造りのアーチが街を横切り、建物が重なる大きな景色です。最終的には、その街を約5秒見せるところから始めています。そのあとに車窓の二人、降りた先の街、歩く後ろ姿へつなぎました。

一瞬だけきれいな絵を挟んでも、景色を受け取る前に切り替わってしまいます。人物の表情も街の光も、ちゃんと見られる長さを残す。その時間の取り方も、何度も調整しました。
サビには、歌う二人と広い景色を
歌唱シーンはサビで活かしています。ただ、マイクを持つカットが続くだけでは、旅の広がりが弱くなってしまう。二人で歌う場面の間に、水辺や街の景色、風を受ける表情、歩いたり走ったりする姿を組み合わせました。

男性の声が続くところで女性だけが歌って見える場面も、気になる部分でした。差し替えたり、歌唱以外の素材を使ったりして見直しています。
二人で歌う場面は残したい。そのうえで、人物の寄りと広い景色をどう切り替えるか。サビの中でも、次の画面に気持ちよく移れる順番を探しました。
使う数秒と、前後の順番
動画素材には、良い表情や背景があっても、そのまま全部は使いにくいものがありました。屋台の場面では、途中から背後に不自然な腕が見えてくる。そこは、同じ動画の前半にある安定した部分を選び直しています。

終盤では、走っている場面を先に見せたあと、別のカットで走り始めてしまう箇所もありました。一枚ずつ見ていると気にならなくても、つなぐと時間が戻ったように感じます。
歌う。マイクを下げる。走り出す。二人で走る。
その順番が自然に見えるように整理し、帰着したあとの歩きへつなげました。当初は100枚近い画像を用意する構成でしたが、最終の日本語版は57カットになっています。予備の動画も含めて、使う場所や長さを選び直しました。
英語版でも、この旅を
英語版『Left Unfinished』は、別の歌唱音源に合わせて制作しました。日本語版と曲の長さが違うので、そのまま音だけを入れ替えることはできません。同じ映像素材を使いながら、英語の構成に合わせて使用区間や長さを調整しています。
英語の歌詞には、原曲の「帰れないんじゃなくて帰らないだけ」から始まるBridgeに対応する節もあります。日本語のリマスター版と英語版では、旅の途中に置かれる言葉も少し違います。
全曲の正方形版と横長版に加え、二回目のサビを使った縦長版も用意しました。横長では元の絵の横幅を活かし、顔や手元がどこまで見えるかをカットごとに調整しています。字幕は白文字で、中央下に固定しました。

英語版MVを見る · 日本語の音源と歌詞 · 英語の音源と歌詞
最後は、帰ってきた二人の足取りを見せ、駅の光と風を残しています。

「手ぶらで世界へ飛び出して」という以前の歌に、今回は、街を歩く二人の時間を重ねました。歌う顔だけでなく、窓の外や屋台の灯り、並んだ後ろ姿にも、その曲の時間を残したMVです。
melodic rap / hip-hop / alt-pop未完成のまま(Remastered)破れたガイドと片道切符で、知らない街へ。言い間違いも寄り道も旅の一部にして進む『未完成のまま』のリマスター版です。曲のページを開く →最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
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